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芳年 藤原保昌月下弄笛図

商品NO. A1-93-247
タイトル 藤原保昌月下弄笛図
作者 芳年
年代 明治16年(1883)
状態 穴,トリミング,シワ,裏打ち
サイズ 69×35cm
価格 SOLD
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藤原保昌は平安時代中期の公家であるが、「今昔物語」の説話にその名が登場する。十月朧月の夜に一人で笛を吹いて道を行く者があり、それを見つけた袴垂という盗賊の首領が衣装を奪おうとその者の後をつけたが、どうにも恐ろしく思い手を出すことができなかった。その者こそが保昌で、保昌は逆に袴垂を自らの家に連れ込んで衣を与えたところ、袴垂は慌てて逃げ帰ったというものだ。
 本作は、この「今昔物語」を下敷きに前年制作した肉筆画を版画化したもので、本図に想を得た河竹黙阿弥の脚本で歌舞伎も上演され、大評判となった。 笛を吹く保昌とその背後に刀を構える袴垂のもとへ、保昌の笛の音に共鳴するように突風がふき、保昌の袖とススキが不気味にたなびく。立ち込めていた暗雲も流れ、満月が顔を出し、保昌の圧倒的な存在感が巧みに表現されている。

芳年(よしとし)
天保10年(1839)〜明治25年(1892)
浮世絵師。別号に玉桜・魁斎・大蘇などがある。 国芳 の門人で河鍋 暁斎 は兄弟弟子である。幕末期には 武者絵役者絵美人画 など 国芳 風を脱皮に努め、残酷趣味の 無惨絵 など時代風潮を反映した作品を多く描き、「血まみれ 芳年 」などと呼ばれた。また明治6年頃から菊池容斎の画風に傾倒、この筆致に 洋風 を融合した独特の描法で歴史上の事件に取材した作品を多く描く。更に明治7年頃からは「郵便報知」など 新聞錦絵 の制作にも活躍。活発な制作活動を展開する。当時、没落していく浮世絵師の中で最も成功し、門下からは 年方 を輩出。その画系は 鏑木清方伊東深水 と現代まで続く。
代表作は「 月百姿 :>全100枚一覧」「 風俗三十二相 」「 魁題百撰相 」など。