芳年(よしとし)
天保10年(1839)〜明治25年(1892)
浮世絵師。別号に玉桜・魁斎・大蘇などがある。 国芳 の門人で河鍋 暁斎 は兄弟弟子である。幕末期には 武者絵 ・ 役者絵 ・ 美人画 など 国芳 風を脱皮に努め、残酷趣味の 無惨絵 など時代風潮を反映した作品を多く描き、「血まみれ 芳年 」などと呼ばれた。また明治6年頃から菊池容斎の画風に傾倒、この筆致に 洋風 を融合した独特の描法で歴史上の事件に取材した作品を多く描く。更に明治7年頃からは「郵便報知」など 新聞錦絵 の制作にも活躍。活発な制作活動を展開する。当時、没落していく浮世絵師の中で最も成功し、門下からは 年方 を輩出。その画系は 鏑木清方 、 伊東深水 と現代まで続く。
代表作は「 月百姿 :>全100枚一覧」「 風俗三十二相 」「 魁題百撰相 」など。
芳年武者无類
『 芳年 武者无類』は、日本の歴代の武将たちを描いた全33図からなるシリーズ作品である。 武者絵 という伝統的な画題ではあるものの、いまにも飛び出さんばかりの大胆な構図に勇猛な武士の姿を収める型破りな手法は、いかにも「奇才」月岡 芳年 らしい。力みなぎる武士を生々しく演出する、赤を効果的に用いた強烈な色遣いもまた魅力的である。