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橘小夢 嫉妬

商品NO. A2-89-373-12
タイトル 嫉妬
作者 橘小夢
年代 大正12(1923)年頃
状態 台紙に破れあり
シミ,焼け
サイズ 26.5×39cm
価格 SOLD
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「一人の男が、二人の女を愛して居た。二人の女は何時も睦しかった。或時、双六をして遊んで居た二人の女は、春の夜の軽い疫れに、つい知らず假睡をした。すると、恐しくも、二人の女の髪の毛が、無数の蛇となって縺れ始めた。それを見た男は、自分の罪障の深いのを覚り、遁世して僧となった。」

 石童丸物語、または刈萱物語として知られる伝説を主題とした一作である。筑後の侍、加藤左衛門尉繁の正室と側室がスゴロクをして遊んだあと、うたた寝をしている。一見仲良く見える二人にうずまく嫉妬を蛇のような髪の毛で表している。蛇を好んで描いた小夢であるが、一枚の中にこれほど多くの蛇を表した作品は他にないだろう。緊密な曲線と息苦しいまでの点描が、狂気に近いほどの嫉妬を感じさせる。

橘小夢(たちばなさゆめ)
明治25年(1892)〜昭和45年(1970)
日本画家。黒田清輝に洋画を、川端玉章に日本画を学ぶ。民話や伝説をモチーフとした日本画や版画を多く手掛け、雑誌や小説の挿絵画家としても活躍した。