広重(ひろしげ)
寛政9年(1797)〜安政5年(1858)
浮世絵師。画号に一遊斎・一幽斎・立斎・歌重などがある。豊広の門人で狂歌本の挿絵や 役者絵 を初筆として画業に入る。天保3年、幕府八朔の御馬献上の行列に随行して上洛。その時の印象を翌年『 東海道五十三次 』に結実させて刊行。好評を得て 風景画 家としての道を進む。以後、諸国 名所絵 、江戸 名所絵 の傑作を発表。代表作に『東都名所』『 名所江戸百景 』等がある。
五十三次名所図会
天保3年(1832)に刊行された『保永堂版 東海道五拾三次 』は、 広重 の浮世絵師としての地位を確立した作品だが、その後 広重 は20点もの東海道シリーズを描いている。保永堂版のおよそ23年後の安政2年(1855)、 広重 が59歳の時に最後の東海道シリーズとして制作したのが『五十三次名所図会』(一般に竪絵東海道)である。それまでの東海道シリーズとは異なり、大判という大きさの紙を縦に使っており、縦長の画面空間において 広重 は俯瞰構図を多用したほか、中には最晩年の代表作「 名所江戸百景 」へと繋がるような「近像拡大図」(近景のモティーフを大きく描く手法)の萌芽も見られる。